木幡家の新たな生活が、ログハウスで始まりました。
家具や電気製品や調度品などが計画通りの場所に置かれ、押入や収納にも様々な物がきちんと収められています。
木の器でしか無かったログハウスが、ようやく生活の空間として機能し始めたようです。
その様子をご覧頂きながら、『木幡様の住宅建築』 最終回と致します。
木幡さんご夫妻とお会いしてから二年余り。土地探しの紆余曲折から完成まで、振り返ると短くも感じます。
ご夫妻やこのログハウスとも、これから終生のお付き合いになりますので、周辺の変化の様子や進化の過程を、時々ご報告出来ると思います。

鬼の洗濯岩で有名な日南海岸国定公園の中、堀切峠から南へ海岸沿いを車で約3分。病院跡地の一角です。
国道から海に向かって30mの進入道路の先、260坪の敷地のほぼ中央、木幡さん自身の描かれた図面通りに、ログハウスの住宅が立派に完成しました。
玄関小屋根は二本の円柱とキング ポスト トラスに支えられています。
敷地から1m高の玄関ポーチは、緩やかな大型階段の上に広々と設置されています(左)。
ほとんど段差無くタイル張りの三和土(タタキ)へ、そして10cmの段差で床板面になっています。正面には施主ご母堂の描かれた絵が飾られ、住人や来客を迎えてくれます(右)。
玄関ホールと階段空間が一体となり、窮屈になりがちな場所を広くて立体感のある余裕の空間にしています。
玄関サイドと階段上の大型窓からは、たっぷりの光が注いでいます。
横1.2mの幅広トイレは、手洗いスペースの横に収納ケースを置いても余裕があります。床下にはトイレ専用のクリーンパネルが敷かれました(左)。
洗濯機の上には二段の棚が取り付けられて、洗剤などの収納ボックスが置かれました。計算通りに収められた洗面台との間にも無駄なスペースは有りません。手前の空間も広くてすっきりしています(右)。
ジェットバス美泡湯のシステムバスには、アルミサッシの台形出窓が付き、鬼の洗濯岩の向こうに広がる太平洋が一望出来ます(左)。
一階中央のログ交差部分に、インターホンやセコム機器それに浴室のコントローラーが取り付けられ、動線の要の場所として使いやすく設置されています(右)。
夫人のプランに沿ってキッチンの背面には食器棚や造作棚が並べられ、上には開き戸付きの吊り棚が取り付けられています(左)。
幅2.7mのシステムキッチンはリビングとの対面、その横に冷蔵庫(右)。
リビングのキッチンサイドにはカウンターにハイチェアー、そしてテレビと音響コーナー。一階のほぼ中央になる冷蔵庫の背面には、ジャッキでセトリング対応する柱二本が補強に設置されています。ジャッキ調節用の空間を覆う板の上には、火を治める鬼神面が飾られ、ストーブと囲炉裏を見守っています。
リビングから見る中央ノッチと玄関方向。玄関と生活空間の間に、程良い目隠しと見通しの空間ができています(左)。
この冬、早速活躍したホンマのストーブ。自作の炉台もすっきり馴染んで、火を入れない季節にもリビングの楽しいアクセントになりそうです。高価な外国製も良いのですが、リーズナブルな国産ストーブも性能や外観で負けてはいません。薪集めと薪割りがこれからの日課になります(右)。
リクライニング機能の付いた大きなソファーとセンターテーブルが置かれても、予想以上に余裕のある空間になったリビング。大型のフレンチドアや掃き出し窓からたっぷりの陽光が入り、高い天井がさらに空間を広げています。
リビングから一段上がった和室の中央には囲炉裏。施主のご先祖が描かれた掛け軸や生花の飾られた床の間も、施主により柿渋が塗り重ねられて、落ち着きのある部屋になりました。
階段上部に設置された特注大型のフィックス窓の先には、国道先に広がる傾斜地の花々が間近に見えます(左)。
階段の上にも、ご母堂の素敵な絵が飾られ、木一色の壁に彩りを与えています(右)。
二階ロフトにはミニキッチンの前にカウンターと回転椅子が置かれ、今後どのように利用されるのか楽しみです(左)。
大工造作の箱の上にかわいい洗面ボウルが設置され、その上には小型のガラス棚と鏡と照明(右)。
右手に大きな洋ダンスが置かれ、二つのベッドが並んだ主寝室。両サイドと中央にも十分なスペースが取られています。奥にはデスクとストーブ煙突(左)。
空間を無駄無く使う為には、これまで使っていた家具類と新たに購入する物との配置に、十分な検討が必要です。図面の段階で家具の配置を細かく決め、さらに建築過程で変更や調整をしていかれると、使い勝手の良い配列になるようです。
二階南側の和室からは、田畑の向こうに団子形の巾着島と海が見渡せます(左)。180°回転して外側のガラスも室内から拭けるトップターン窓。この家のために咲いているような国道沿いの花々がとてもきれいです(右)。
全ての窓には淡いグリーンとベージュで統一されたロールスクリーンが設置されました。
吊り収納の下には和風の照明。これからどのように使われていくか楽しみな部屋です(左)。
北東の和室も予想以上のおもしろい部屋になりました(右)。立体化すると設計図面では計り知れなかった空間になるのが、建築の楽しみの一つでもあります。
施主との間で、「もっと広く」、「いや広すぎます」と意見の分かれた大型バルコニー。テーブルと椅子がゆったり置けて、ビールを飲みながら海や空を眺めるには、最良の場所です。さっそく、おおいに活用されているようです(左)。
L形で東南に広がるテラスには、花一杯のプランターが置かれ、リビングの延長空間として活躍しています(右)。
自然たっぷりの環境に囲まれて、波の音や星の瞬き、日々の天候や四季の移り変わりを身近に感じることが出来るのは、最高の幸せかも知れません。
玄関横と、海側にはシャワー付きの、特注の水栓柱が取り付けられました。
海で獲れた貝や魚、家庭菜園の野菜や果物を洗うのにも役立つ事でしょう。露天風呂が出来るまでは、塩水や土や薪割りの木くずが付いた手足を洗うのに活躍しそうです。
すでに、 ガレージの設置や台風対策に防風木の植栽、海を間近の露天岩風呂などが計画されています。
今後、家の内外ともにますます進化発展して行く事を、大いに楽しみにしながら、このシリーズを終了させて頂きます。

建築実績〜完成作品〜へ戻る



▼木幡さんちCONTENTS
四方 排水路 配置決め 地質調査 屋根組みと金物取付
倉庫基礎造り 倉庫設置 草刈り 戸窓の設置と屋根
地鎮祭  いよいよスタート 外部内部の造作
フィンランドでの加工風景 最終段階の造作
基礎工事まで ようやく完成
コンテナ到着  荷下ろし
5月11日
完成後の生活
ログ組み建て 完成後の変化
小屋組み・棟上げと垂木架け