街中や住宅団地などでも、ログハウスを見ることが出来るようになってきましたが、今でもご希望が断然多いのは、景色の良い山間地や海の近く、それに川沿いです。
広々とした敷地、素晴らしい眺望や環境、それらの恵まれた自然に良くマッチするのもログハウスの特徴かも知れません。
反面、開けた場所での建築の大きな課題は、やはり台風対策です。
今回はこれまで以上に、強度と防水に苦心しています。

屋根の造作で一番手の掛かるピークドーマー。
屋根屋さん板金屋さんにとっても、骨格を造り天井を張る大工さんにとっても、とても厄介な代物です。
ただし、45°に傾斜する二階の空間を大きく広げ、窓を設置して景観と光と換気を入手し、外観の大きなアクセントになりますので、とても捨てがたい存在です。
大きな棟木と二重垂木で、鼻の様な形に三方を決めます(上)。
棟木を支えるのは、窓と収納扉の枠となる柱と横架材です(中左)。斜めに架かる屋根垂木は、その場で合わせながら、微妙な角度に裁断して取付けなければなりません(中右)。
形がきれいに出来上がって来ました(下左)。
全ての材をビス留めした上に、要所をボルトで固定していきます(下右)。
二階に床根太を設置し、その上に捨張り(合板)を張りました。床板を張るまでの間、養生シートを敷きます(左)。
薪ストーブの煙突を中に通す、煙導囲(エンドウガコイ)の骨格も頑丈に造作されました。
内部には耐熱ボードが張られています(右)。
前回もご紹介しましたように、屋根骨格の強度を上げる為に、様々な種類の金物を使っています(上)。
本体の母屋とシェットドーマーの母屋を一体化させる為に、束を三ヶ所立て、更にU形金物で緊結しています(下左)。
ピークドーマーの棟木も本体の母屋とつないでいます(下右)。
ログハウスの屋根三点セットは、ドーマー(出窓)と煙突(煙導囲)と天窓。
施主のご希望の位置に、天窓の大きさに合わせて屋根を切り開きました。
垂木を一本切ることになりますので、補強垂木を追加する必要があります。
本体を外から固定して、ルーフィングや板金で雨仕舞いをします。
いよいよ窓の取付けが始まりました。
指定の位置に、間違いなくログ開口が取られています。両サイドはきちんとカットされ、セトリング対策にティーバー(T形)をはめ込む縦溝も加工されています。輸送途中で折れたりしないよう、上と下の開口位置のログには、チェーンソーで横に切れ目が入れてあります。
まずは、上下の不要部分を切り落とします(左)。
ティーバーを両サイドに取付け、縦横のレベルを見ながら固定していきます(下右)。
屋根垂木の上に野地板(構造用合板)を張り、その上に防水ゴムアスルーフィングを下から重ねながら横張りします。
普通より重なりを1.5倍取りながら、急傾斜の為慎重に張り上げていきます。
これが済むと、雨対策の心配が無くなり、一安心です。
宮崎工業高校電気科の生徒二人が現場実習にみえ、楽しそうに先輩から色々と指導を受けていました(左)。
基礎の上に載る、基礎パッキン・土台・根太・スペーサーを隠す為に、化粧板金を取り付けています(右)。
黒の板金が建物の下部を引き締めて見せてくれます。
屋根の形や家の全体像がはっきりとしてきました。
金物の取付けやドーマーの造作などに、予定より大分日数を取られましたが、工期全体の三分の一が終了しました。
大型の窓が一つずつ屋内に運ばれます(上左)。
二階和室のフレンチドアも、足場を設置しながら慎重に持ち上げられています(上右)。
一階リビングのフレンチドアと掃き出し窓は特大なので、設置に一苦労しました(中)。
アルミ出窓の付く浴室以外は一階全ての戸と窓が取り付けられました(左)
東西の妻壁には、横架材が追加されて補強してあります(上)。
普通、合板の外側だけに張るタイベック(防水紙)を、合板の内外に二重に張ってみました(下)。
取り越し苦労だと良いのですが・・・。
南北一列、東西三列の梁は、上下二本のログです。その二本を緊結して強度を上げる為に、ボルトでつなぎます。

サビ防止の塗装をした長いボルトをカットし(上左)、穴を対角に開けた上部座金とナットは、溶接して塗装し(上右)ログ上部に固定します。
下からは、四角と丸の座金を入れて、帽子の形のハットナットで締め上げました(左)。
二階の戸と窓の位置や高さは、図面と違った場所に移動が可能です。図面上での判断と立体的になった実物では、まるで違う場合が多々あります。
施主立ち会いの元で、取付け位置を確定する必要があります。
海側にはフレンチドア、フィックス窓、開き戸、開き窓の四種類が設置されています(上左)。
反対側の妻壁には開き窓が二枚と大型のフィックス窓が付きました。写真はトイレの窓です(上右)。
南側の洋室は中央がフィックスで両側が開き窓(下左)、和室は両開き窓です(下右)。
外の景色がこれ程絵になる現場も珍しいものです。
屋根仕上げ材の工事が始まりました。
コロニアルNEOのワインレッドを選択されていますので、一味違った趣の外観になると期待されます。
東西に延びる棟木が桁より相当長く、埴輪のような形の屋根になっていますので、両端のコロニアルは全て斜めにカットされます。
カットされた残りは使えなくて、枚数がだいぶ不足し大層な追加となりました。
雨仕舞いが一段落したこの時点で、慰労と元気付けの為、施主のお心遣いで焼き肉会が催されました。
土曜日昼からのビールとたっぷりの焼き肉は、ことのほか美味く、乾杯以後の盛り上がった様子を撮影するのを、すっかり忘れてしまいました。

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▼木幡さんちCONTENTS
四方 排水路 配置決め 地質調査 屋根組みと金物取付
倉庫基礎造り 倉庫設置 草刈り
11月24日
戸窓の設置と屋根
地鎮祭  いよいよスタート 外部内部の造作
フィンランドでの加工風景 最終段階の造作
基礎工事まで ようやく完成
コンテナ到着  荷下ろし 完成後の生活
ログ組み建て 完成後の変化
小屋組み・棟上げと垂木架け