■木城町・猪股邸

「温暖の地 ・ 宮崎にストーブは不似合い!・・・とお思いですか?」
” アラスカに冷蔵庫、砂漠地帯で毛皮”・・・のように、ちょっと結びつかないかもしれませんが、北海道が暑い夏に弱いように、宮崎の家は寒さ対策が不十分なのです。
特に大きな吹き抜けの増えた最近の家は、いくら暖房をフル稼働させても、あまり役に立ちません。そこでやっぱり、”ストーブ”の登場なのです。火の温もりには、電気やガスにない大きな力があります。

焚き火は8人のにぎわい、と申します。
「家の中全体に、朝までほっかりとしたあったかさがある」、「炎の揺らぎを見ているだけで心が休まる」、「ストーブの周りに家族が集まってくる」 との声をよく聞きます。
一般住宅に、建築後ストーブを設置される方が増えています。

壁と天井に丸太の半割りを使い、増築された吹き抜けの広い空間に、ストーブを設置します。
当初瓦屋根を避け、光り取り入れ窓のある横壁から煙突を出す計画も立てましたが、防水が出来そうだとの瓦屋さんの話と、直立の方が安いという事もあって、ストーブ真上に煙突を直立させることにしました。
石膏ボードの上にタイルを敷き詰め、猪股さん親子によってレンガが組み上げられました。
カナダから混載便で太平洋を渡り、ようやく到着。
パレットの上には、ストーブ本体と外部煙突1200o1本、内部煙突920o2本と620o1本、高さ調整スライド煙突920o2本。そして屋根天井に取り付けられて、煙突と木部に隙間を作るラウンドサポート。
付属金具は、外部煙突をラウンドサポートの中で受けて内部煙突につなぐ受け皿のようなフルーエクステンション、ラウンドサポートを屋根に固定する役目のルーフサポート、ストーブ本体と煙突最下部をつなぐストーブエクステンション、ラウンドサポートと外部煙突を包み屋根に固定されるフラッシング、外部煙突とフラッシングの隙間を埋めるための襟巻き状のストームカラー、天井と内部煙突の隙間を隠す仕切板が、ビスなどと一緒に梱包されていました。
ストーブ本体が予定の場所に設置されました。瓦屋根の写真中央に煙突が立ち上がる予定。
下げ振りの代わりに重しを下ろして、ストーブ本体の煙突穴の中心から真上の天井に穴を開けます。
瓦16枚を剥いで下からの穴を確認。垂木に掛からないように、少し移動してラウンドサポートを取り付ける穴をほがします。
ルーフィングと野地板と断熱材を少し広めに切り、ラウンドサポートが垂直に取り付けられるかを確認。
丸太半割が使われていた天井を垂直に切り開いてゆきます。
ラウンドサポートに取り付けられたルーフサポートの羽2枚を、垂直を確認しながら野地板に止めます。
フルーエクステンションを下部に固定した外部煙突をラウンドサポートに落とし込み、フラッシングを被せて十分にコーキングして屋根に固定します。
フラッシングの形に合わせて瓦を切断してゆきます。
外部煙突を受けたラウンドサポートの中から、外部煙突下部に固定されたフルーエクステンションが出ています。ここに内部煙突をつなぎます。天井との隙間を隠す円形仕切板も取り付けられました。
フラッシングと瓦の間には漆喰が詰められ、コーキングも上塗りされてゆきます。最後にフラッシングの上部にストームカラーを襟巻きのように巻いてコーキングしました。
垂木の関係で煙突に少しカーブさせましたが、大工さん・屋根屋さんと半日作業で無事終了。
ダッチウェストFA225。
お供えをして火入れのお祓いをし、いよいよ着火。ストーブ本体が少しずつ熱に慣らされてゆきます。真冬だけでなく、長い梅雨時の乾燥にも活躍しそうです。

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