住宅の完成に合わせて、離れのご希望がございました。
お客をもてなす囲炉裏と、藤棚兼用のテラスがポイントです。
約6畳の屋内と1.7畳のテラスのある小型ログハウス。
建築経過をご紹介致します。
公共工事に伴う立ち退き移転で新築された、住宅の敷地内にご希望です。
電柱が奥の南隣地との境界(左)。
東側には農地用の側溝があり、どのような配置にするか施主も相当悩まれたご様子でした(右)。
前夜の雨水が残る現場で、基礎工事がスタートしました(左)。配置と高さを確認する為に、要所に杭を立て、遣り方をして基準となる線を出します(右)。
犬走りまでを含めたベースの外枠を作り、防湿ポリフィルムを張り(左)、その上に配筋をし、生コンを打ちます(右)。
ユンボのショベルを利用してミキサー車から生コンを下ろしました(左)。
型枠に付けた印や立てた鉄筋の印を高さの基準にして平らに均します(右)。
普通であれば立ち上げるのはログ壁の下に長方形一周ですが、掘り炬燵式の囲炉裏をご希望ですから、三周の立ち上げになりました。
ベースの固まりを待って、型枠を組みます。
囲炉裏は玄関ドア寄りで、反対側には床を支える大引が必要です。大引を支える束を固定する束石(左)。
正面側に張り出すテラス用の基礎は束石4個です(右)。
テラス用の束石も15個用意されて、基礎工事が終わりました。
神戸港の倉庫にちょうど在庫が有り、フェリーを利用した4tユニック車でキットが到着しました。

梱包は普通二個。今回は、テラス側にドア一枚を追加し、高さを二段増しした分が増えています(左)。
テラス用の防腐防蟻剤・加圧注入材は地元の建材屋さんから調達(右)。

少し置き位置が狂っている束石もありましたが、本体のべた基礎は頑丈に出来上がっています。
キットの梱包を解いて、いよいよ組み建てが始まりました。
布基礎のサイズも微妙に狂っている場合があります。正確な基準線を出して、一段目を間違いの無い長方形に組むのが肝腎です。
布基礎の上に羽子板金物を埋め込んでいますが、ほんの少し外側に設置してあります。内側過ぎた場合はログを掘り込む事になりますし、隙間が空いた場合は埋め木をします(左)。
一段目ログを湿気から守り、床下を十分換気する為に基礎パッキンを入れて固定します(右)。
一段目がちゃんと確定してしっかり固定されると、後はスピード良く組み上がっていきます。入口テラスにも束が立ちました。
ノッチの部分にはコーキング剤を充填しています(左)。
みるみる梱包のログが減っていき、後には戸や窓や板が残っています(右)。
テラス側にドア一枚を追加して、その開け閉めに上部が軒先に当たらないよう、ログ壁二段の積み増しを注文致しました。
その関係で玄関側の段々に長くなるログの長さが合わなくなり、後でログを継いだりカットして整えることにしました。
通しボルトも長ナットを用意して継ぎ足す必要があります。
天井板は野地板(屋根下地)兼用です。
夏の屋根からの熱を防ぐ為に、屋根内に断熱材を入れる場合は、構造用合板を野地板に使い、断熱材の下からこの板を天井板として張ることになります。
妻壁側の両サイド、屋根の先端に二枚重ねの破風(ハフ)が張られています。
軒先には野地板の下に鼻隠(ハナカクシ)を設置します。長物の板は結構反っていますので、真っ直ぐに矯正しながら(上)上から留め(下左)、最後には破風と固定します(下右)。
アスファルトルーフィングを下張りし、その上に屋根仕上げ材のアスファルトシングルを張り上げていきます。
ドア二枚、窓一枚が取り付けられて、離れ本体はほぼ完成です。
天井には棟木と母屋が見えています(下右)。
アスファルトシングルの屋根と、飾り板の付いた破風。
テラスの造作が始まりました。柱に欠き込みを入れ、横木を固定していきます。
テラスの大引が固定され(左)、藤棚となる横木も取り付けられました(右)。
筋交で補強され、床板が張られ、手摺りや階段も設置されました。
ログハウスには塗装二回塗りが進んでいます。
正面側は駐車場になるので大きな階段は邪魔になりそうです。そこで杉丸太を埋め込んで横向きのステップをこしらえました。
メインの出入り口になりそうなテラスの階段は、波形ブロックを基礎代わりにして頑丈に造作されています。
囲炉裏の框(カマチ)造りが進んでいます(左)。屋内の三分の二を占める掘り炬燵式の囲炉裏基礎(右)。
防寒と足触りが良いように、すのこや合板で下地を作り(左)、その上にタイルカーペットを張っていきます。
囲炉裏を使わない時には床板が設置出来るように工夫がしてあります(右)。
余ったタイルカーペットを框との間に挟んで床板を設置します。
これで囲炉裏の完成です。
囲炉裏の框にニスが塗り重ねられて、既に火を燃やした跡が着いています。ストーブを持つ友人に依頼されて、これから灰を大量に集められるようです。
囲炉裏が大いに活躍する事を祈って、今回のご報告を終了致します。