NPO法人里山自然塾の活動拠点として、山の入口に小型ログハウスを建築する事になりました。
基礎の造作から組み建ての様子等をご覧下さい。
セルフビルドのご参考になるかも知れません。


建築場所は広い休耕畑の一角。ログハウスの他にプレハブ倉庫とトイレが設置予定です。なだらかな傾斜地の山側に、レベルで水平を確認しながら土を盛り、しっかりと転圧します。
その上に砕石を均し(上左)レベルで高さを確認しながら(上右)平らなベースを造作していきます(下左)。
ログの芯線より幾らか広めに締め固めてあります(下右)。
杭を立てて板を回し、ログ芯と束石羽子板の線を基準にして水糸を張ります。この水糸を目印にして束石の場所と高さを決めていきます。簡単そうでなかなか難しい作業です。これが間違うと組建ての時に往生しますので、プロに依頼した方が無難な場合もあります。
クレーン付きのユニック車から降ろされる2梱包。相当な重量になります。大きめの枕木を敷いて地面から離し、ブルーシートで覆って雨から守ります。
本来なら開包検品をして、間違いなく部材が全部有るかどうかを確認すべきですが、完璧にそれを行う事は不可能に近く、散乱したり汚したり傷めたりして、かえって面倒な事になる事の方が多いようです。
全て揃っている事を念じながらしっかり養生して、組み建ての数日前か前日に梱包を開く方が賢明のようです。
前日にログの梱包を開き、印を確認しながらログを四方に振り分けました。
基礎が計算通りに出来ているかを先ずは確認します。
水平は大丈夫でしたが、少し位置のずれている束石もありました。
コンクリート束石と絶縁してログを水から守る為、屋根防水用のルーフィングを敷き(左)、一段目ログの設置位置を確認します(右)。
一段目ログの下面に防腐剤を塗ります。少しずれていた羽子板の部分はログを削って調節しました。
一段目のログの設置が直角・水平でないと上の段になった時に困りますので、慎重にログを組み合わせていきます。
気を付けないと間違って組む事もあります。やり直しの解体が始まりました(左)。ある程度組んでいくと、だんだんスピードアップしていきます(右)。
中には反りやねじれのあるログも有ります。ログを傷付けないように保護材を置いて、荷締め等を使って矯正し(上)、付属の25cm長尺釘で下のログと緊結します(下)。
戸や窓の空間が終わり、上のログを載せる時に上手く合わない事がよくあります。それまで組んだそれぞれのログが少しずつずれている事は多く、この段階で全体の矯正を行います。
桁・母屋そして棟木が正面と裏方向に組み上げられていきます
妻壁の上部にいくに従いログ重量の押さえが少なくなりますので、長いビスで下のログと緊結しながら組み上がります。ログ交差部分の全てには、コーキング剤で防水対策が施され、ログが全て組み建てられました(下右)。
四隅には通しボルトが設置され、壁全体を一体化します(左)。もう一つの梱包には、天井板や床板などがきちんと分類整理されて入っています(右)
屋根の下地となる材(野地板)は天井板兼用です。採寸して中央から張り始まりました。
戸が一枚に窓が二枚。
長さの違う各種の釘は、袋ごとに仕分けがしてあります。
ご覧のように野地板の下が天井になります。断熱材を設置する場合には、合板を準備して野地板として張り、この板を母屋などの下から固定して天井にします。窓も仮に設置されました
二人二組に分かれて左右に一枚ずつ張っていきます。
屋根の仕上げ材となるアスファルトシングル材が出てきました。材の山が少しずつ減っていきます。
鼻隠し(ハナカクシ、軒下の一枚)を上から留めます。同じ長さの天井板の先も微妙に波打っていますので、墨を出して丸ノコで直線にカットします(左)。破風(ハフ)と呼ばれる板が、妻壁側に「へ」の字に取り付けられます(右)。
反対側にも、野地板が張られていきます(左)。
破風は二枚重ねで、その内側に三角材が固定されます(右)。このあたりの仕様はメーカーによって様々です。
床板を受ける大引と根太には防腐剤が塗られています(左)。中央二列の一段低くなった束石には大引が載り、その上に直交して根太が並ぶ予定です(右)。
反対側の鼻隠しも上から固定されています。
屋根四方の形を整える為、余計な出っ張りはノコで落とします。
そして、ロール状に捲かれた防水アスファルトルーフィングを、下から横に張り、重ねを十分に取りながら張り上がります。
両サイドに根太受けの角材を取り付け、切り込みを入れた根太の両端を固定します(左)。中央二列の大引に載った根太もしっかりと固定し、片側から床板を張っていきます(右)。
窓の周辺には防水両面テープを隙間無く張り、その上から額縁材を取り付けます。
正面のデッキ造作も始まりました。室内同様に大引受けの束石があり、根太を並べ床板を張ります。屋内と違うのは、デッキ床板も防腐材を使います。
最下部に水切り板金を取り付け、屋根仕上げ材のアスファルトシングルが下から上に重ね張りされています。
裏側半分には太陽熱で熔ける強力な接着剤がついており、残り半分には釘を打ちます。その上に接着剤部分を張り合わせ、釘は隠れます(左)。
最後に、波形に飾り加工された破風をとりつけています(右)。
ヨーロッパパイン材の匂いが充満したログハウスの内部。
戸も窓も頑丈な木製のペアガラスです。湿度によっては多少膨張収縮しますので、締まりにくかったりする時期も有ります。
作業道具を入れるプレハブの倉庫も設置され、いよいよ利用開始。
壁となるログは50oの厚さが有りますので、どっしりとして台風や地震にも強く、メンテナンス次第では何十年でも利用して頂ける建物です。
時々こまめな塗装をして頂く事をお願いして、引き渡しを致しました。